問題
責任準備金評価の一保険契約を再保険に付した場合の責任準備金の不積立てについて、関連する法令および「保険会社向けの総合的な監督指針」における記載も踏まえ、簡潔に説明せよ。
再保険に付した契約であっても、保険事故が発生した場合、保険金受取人からの請求に対して責任を負うのは元受保険会社であり、再保険していることにより免責となるわけではない。受再会社が破綻した場合のことを考慮すれば、再保険に付した部分も含めて元受保険会社が責任準備金を積み立てることも考えられる。ただ、この場合、再保険方式によっては、元受保険会社に過度な負担を強いることになる。
このため、保険業法施行規則において、保険会社等に出再する場合は、健全な出再先への出再として、再保険を付した部分に相当する責任準備金を積み立てないことができるとされている。
また、「保険会社向けの総合的な監督指針」においては、この取扱の可否について、当該再保険契約がリスクを将来にわたって確実に移転する性質のものであるかどうかや、当該再保険契約に係る再保険金等の回収の蓋然性が高いかどうかに着目して判断すべきであるとされ、回収の蓋然性の評価にあたって、少なくとも再保険契約を引受けた保険会社又は外国保険業者の財務状況について、できる限り詳細に把握する必要がある、とされている。
生命保険の再保険として代表的なものに、共同保険式や毎年の危険保険金部分を再保険する方式があるが、これらの再保険に付した契約における責任準備金については、前者の場合は、保険料、保険金等の全ての契約者との金銭を再保険割合に応じて分かち合うことになるため、責任準備金も元受会社と再保険会社で再保険割合に応じて積み立てなければ、収支に歪みが生じることになる。一方、後者の場合は、元受保険会社から再保険会社に支払う再保険料も、貯蓄部分を含まないその年の危険保険料に対応したものとなっており、この場合は、再保険会社に必要な責任準備金は、定期保険や一般の損害保険に近い方式のものであり、元受保険会社の保険料積立金から、出再部分を控除することはできず、未経過保険料の出再分を控除することができる。