問題
生命保険会社における保険料の収益計上基準について、以下の点に触れながら簡潔に説明しない。(平成26年度大問2(1))
・保険料未収時の会計上の取扱い(責任準備金の「限度積立」を含む)
・払込期月前に払い込まれた保険料の会計上の取扱い
保険業法施行規則は、保険料の計上を次の通り現金主義によるものと規定している。
「決算期までに収入されなかった保険料は、賃借対照表の資産の部に計上してはならない。」
保険料の計上を、入金を手がかりとして行おうとする意図は、保険料の債権としての位置づけにあると思われる。つまり、保険料の支払は契約者の自由意思に基づくものであり、未収保険料は保険会社の確定債務とは言えないと考えられるため、払込期日の到来等により収益を計上することは保守主義の原則の簡単から妥当ではないと考えられる。ただし、債権としての保険料のこうした性格から、入金をもって収益の実現として捉え、収益計上基準は実現主義によると考えても差し支えないであろう。この意味で、企業会計原則における一般の収益計上基準に沿うものであると解釈できるだろう。
【保険料未収時の会計上の取扱い】
保険料の計上は現金主義によっており未収保険料は計上しないが、これに対応して責任準備金の積立も保険料の入金を限度として行っている。これを責任準備金の「限度積立」という。
責任準備金は、年度末有効契約に対して払込期日の到来した保険料につきすべて収入のあったものとして計算し、そこから未収保険料中の保険料積立金及び未経過保険料相当分を各々差し引いて算出する。ただし、決算時から猶予期間末までの期間内に保険料の収入が見込まれない契約についての当該期間に対する危険保険料相当額は、保険料の収入が見込まれない契約からも死亡請求だけはあると考えて、決算時から保険料払込猶予期間末までの期間に対する危険保険料相当額を未経過保険料として積立てることとしている。
【払込期月前に払い込まれた保険料の会計上の取扱い】
払込期月前に払い込まれた保険料は、全額保険料として計上する。ただし、翌事業年度に払込期月を迎える部分については、事業年度末において未経過保険料として責任準備金に積み立てることにより期間損益の適正化を行う。