「ストレステスト」と「負債十分性テスト」

問題

第三分野保険商品の「ストレステスト」と「負債十分性テスト」について簡潔に説明せよ。
(オリジナル)

第三分野の保険事故発生率に関する不確実性は死亡保険と比較して高いが、発生率の事後検証の方法や検証後の対応は各社の判断にゆだねられており、また、危険準備金のリスク係数が一律に定められており各商品のリスクが適切に反映されていないという問題があった。このような問題意識から、責任準備金の十分な積立水準を確保する事後検証の仕組みが導入された。

【ストレステスト】
毎決算期に、商品毎予め設定した予定事故発生率が十分なリスクをカバーしているか確認する。まず、各社合理的な方法で以下を予測する。
P:予定発生率による10年間の将来給付額
A:保険事故発生にかかるリスクの99%をカバーする水準の保険事故発生率による10年間の将来給付額
B:保険事故発生にかかるリスクの97.7%をカバーする水準の保険事故発生率による10年間の将来給付額

(1)P≧Aの場合:
保険料積立金は十分と判断する。
(2)A>P≧Bの場合:
保険料積立金が不足する恐れがあると判断し、危険準備金(=A-P)を積み立てる。
(3)B>Pの場合:
保険料積立金が不足する恐れがあると判断し、危険準備金(=A-B)を積み立てる。さらに、負債十分性テストを実施する。

【負債十分性テスト】
保険料積立金の十分性について、収入支出全体の動向を踏まえ実質的な不足が生じているかを判断する必要があるため、将来収支分析を行う。
(負債十分性テストのイメージ)
実績等を基に将来(10 年間)の収入・支出を推計し、資産が負債である保険料積立金を下回ることがないか確認。
・基準年度は、資産=保険料積立金としてスタート
・保険料積立金(負債)は予定基礎率で計算
・資産は実績等から推計した各年の収入・支出を利用して計算
※ 保険金等の支出は保険事故発生率に関するリスクの97.7%をカバーする水準を設定
・保険料積立金を資産が下回った場合は積立不足と判断
※ 不足額の現在価値の最大値を基準年度において積み立てる必要がある。

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