共同保険式再保険

問題

「共同保険式再保険」について、その仕組みの概要とこれが広く活用されない理由を簡潔に説明しなさい。また、「修正共同保険式再保険」について、「共同保険式再保険」からの修正点を簡潔に説明しなさい。さらに、「資産留保型修正共同保険式再保険」について、資産留保型と呼ばれるその特徴を簡潔に説明しなさい。(2019年度大問2(2))

【概要】
共同保険式再保険とは、再保険会社が元受会社の収入した営業保険料のうち出再割合に応じた額を再保険料として収受し、保険金や解約返戻金などの全ての支出に対して出再割合に応じた額を元受会社に支払うという、再保険会社が個々の出再契約に関し元受契約の契約条件と同一の内容で保険責任を引き受ける再保険の形態である。従って、再保険会社には、死亡率等の保険リスクのみならず、投資リスク・解約失効リスクや事業費支出にかかるリスク等、全ての保険責任が元受会社から移転されることになる。
再保険料は元受保険料から新契約事業費を控除した値であり、場合によっては初年度再保険料がマイナスとなり、再保険会社が元受会社の事業費超過部分を負損することもある。新契約費を再保険会社が肩代わりしてくれるので設立閻もない元受会社にはメリットがある。また、投資能力が低い元受会社は再保会社の運用力を利用できる。一方、再保会社にとっては、投資的色彩が強いので元本の回収司能性を審査する

【広く活用されない理由】
以下の理由により共同保険式再保険が用いられることは少ない。
投資リスクについて、資産運用に係る技術や方針は保険会社によって異なるなど、元受会社と全く同質の全てのリスクを引き受けることを好まない傾向にある。
・責任準備金の移転によって総資産の増加が抑制されることを元受会社が選択しない傾向がある。
・移転するリスク要素の多さから事務管理が煩雑になる。

【修正共同保険式】
修正共同保険式再保険は、元受会社と再保険会社との精算において「修正共同保険準備金調整額」という調整科目を追加する点で共同保険式再保険と異なっている。「期末責任準備金-期始責任準備金-期始責任準備金×mod-co 利率」で定義される修正共同保険準備金調整額において、mod-co 利率として責任準備金計算基礎に使用される予定利率を適用することで再保険会社は投資リスクを負わなくて済む。

【資産留保型修正共同保険式再保険】
両者との精算において契約初期に元受会社が計上する収益を再保険貸で建て、その後の毎期の精算に応じて再保険貸を減少させ、ゼロになると解約になる契約形態を資産留保型修正共同保険式再保険という。現金を計上せず再保険貸を建てることで実際の資産を移転させない特徴が資産留保型と呼ばれる所以である。資産留保型修正共同保険式再保険は、変額年金等の特別勘定を有する一時払の新契約支出の填補のために用いられることが多い。

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