契約者配当の方法

問題

「利源別配当方式」、「アセット・シェアの方式」について説明し、その考え方の相違を述べよ。(平成8年度大問2(1))。

【利源別配当方式】
契約者配当の対象となる金額をその発生の原因ごとに把握し、それぞれ各保険契約の責任準備金、保険金その他の基準となる金額に応じて計算し、その合計額を分配する方式である。これにより、契約者間の公平性を保つことを図る。通常、死亡率、利率、事業費の3要素を用いる。
死亡率:予定死亡率と実績死亡率の差の還元
利率:会社の運用実績と予定利率との差の還元
事業費:付加保険料と実際事業費との差の還元
ただし、これらの要素については、会社の年度決算にもとづく経験値から必ずしもストレートに導き出せるものではなく、死差益における選択効果の差異、契約当初の新契約費支出の取扱い、継続契約と早期消滅契約との間での公平性の維持、多面的な要素を考慮する必要がある。また、解約失効益、その他の損益(法人税支払等)についても視野に入れる必要がある。

【アセット・シェア方式】
保険契約者が支払った保険料及び保険料として収受した金銭を運用することによって得られる収益から、保険金、返戻金その他の給付金の支払、事業費の支出その他の費用等を控除した金額に応じて分配する方式である。この計算は適当な期間まで逐年反復方式で行われ、期間の最終のところで計算結果のファンドと目標とするファンドとを比較し、配当可能な額の終価総額を導き出すことが一般的である。

利源別配当方式は、剰余をその源泉に応じて、分配する者であり、配当率の立案等にもつなげやすい明快な方式である。各利源別剰余がすべてプラスであったり各事業年度ごとに配当を完結する場合等に適した方法である。(剰余や損失を翌年度以降にキャリーオーバーする必要がない。)
一方、アセットシェア配当方式は、利源別ではなく総合収益から剰余を捉える方式である。直接的に配当率の立案につなぐのは難しい面があるものの、一部の利源の剰余がマイナスであったり、剰余や損失を翌年度以降にキャリーオーバーせざるを得ない場合等に適した方法である。特に単年度ごとに還元することが困難なキャピタルゲイン(実現分および未実現分)の還元には相応しい方式であると考えられる。

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