問題
生命保険会社を対象とした早期是正措置制度の概要について、簡潔に説明しなさい。なお、ソルベンシー・マージン比率、実質資産負債差額の計算の詳細については言及する必要はない。(平成26年度大問2(2))
生命保険会社を対象にした早期是正措置については、生命保険会社の業務の適切な運営を確保し、契約者保護を図ることを目的として導入された。
生命保険会社のソルベンシー・マージン比率(以下、SM比率)が200%を下回った場合には、その状況に応じて監督当局が業務の改善などの命令を発動することで、早期に経営改善への取り組みを促していこうとする制度であり、SM比率の区分に応じて、次の通り措置内容が定められている。
【非対象区分】
SM比率:200%以上
措置の内容;なし
【第一区分】
SM比率:100%以上200%未満
措置の内容:
経営の健全性を確保するための合理的と認められる改善計画の提出の求め及びその実行の命令
【第二区分】
SM比率:0%以上100未満
措置の内容:
次の保険金等の支払能力の充実に資する措置に係る命令
(1)保険金等の支払能力の充実に係る合理的と認められる計画の提出及びその実行
(2)配当の禁止又はその額の抑制
(3)契約者配当又は社員に対する剰余金の分配の禁止又はその額の抑制
(4)新規に締結しようとする保険契約に係る保険料の計算の方法の変更
(5)役員賞与の禁止又はその額の抑制その他の事業費の抑制など
【第三区分】
SM比率:0%未満
措置の内容:
期限を付した業務の全部又は一部の停止の命令
・SM比率が0%未満であっても、資産の額から負債を基礎として計算した額を差し引いた額(=実質資産負債差額)が正の値になる場合は第二区分の措置が取られることがある。
・一方、SM比率が0%を上回っていても実質資産負債差額が負の値になる場合には、第三区分の措置が取られることがある。
※この場合、実質資産負債差額から、満期保有目的債券および責任準備金対応債券の時価評価額と帳簿価額の差額を除いた額が正の値となり、かつ、流動性資産が確保されている場合には、原則としてこの区分の措置はとられないこととなっている。
・生命保険会社が第二区分または第三区分に該当したことを知った後、速やかに経営改善計画を自ら策定し、監督当局に提出した場合で、当該経営改善計画が所要の期間で達成できると見込まれる場合は、当該改善計画達成後に該当する区分(非対象区分を除く)の措置が取られることがある。