更新制度

問題

(1)更新制度について、簡潔に説明しなさい。また、終身保障の商品と比較した場合の更新型商品の保険会社および保険契約者におけるそれぞれのメリットについて簡潔に説明しなさい。
(2)将来収支の健全性や制御可能性における論点のうち、価格設定つまり更新後の保険料水準の十分性について留意すべき事項を挙げ、簡潔に説明しなさい。
(3)更新型として適している商品を挙げ、そのように考える理由を簡潔に説明しなさい。
(2020年度大問2(2))

(1)生命保険の更新制度とは、保険期間が有期の保険契約が満期を迎える時、契約者の保障継続ニーズに応える機能として、同じ保障内容で契約を継続できる権利を保険会社が契約者に提供するものである。終身保障の商品と比較した場合の更新型商品の保険会社のメリットは、保険会社が更新時に保険料を変更できることにより、不確実性の高い給付事由に対し、実態を反映することができるため、死差損リスクを抑制しつつ、過度に保守的でない保険料で保障することが可能となることである。契約者のメリットは、まとまった保障を確保しつつ当面の保険料負担を抑えることができることである。また、更新前と同じ保障内容で更新できるほか、「更新しない」「保険金額を減らして更新する」など保障を効率的に見直すことができることである。

(2)更新後の保険料水準の十分性は、以下の点に留意する必要がある。
・更新時の事業費
全く新しい顧客から新契約を獲得する場合と比べ、更新手続にかかる事業費は低いことが想定される。
・危険選択の有無
更新の際に改めて危険選択を行う場合は、更新後の契約群団の保険引受リスク量をコントロールできることになるが、更新の際に被保険者の健康状態に応じて割増保険料の適用や謝絶することが許容されるのかに留意する必要がある。一方、更新の際に危険選択を行わない場合は、更新手続きに係る事業費がさらに低廉となることが期待されるが、相対的に保険給付リスクの高い契約がより更新される(リスク濃縮)傾向となる可能性・程度に留意する必要がある。
・価格設定
更新後の保険料水準の十分性は、上記の事業費効率や危険選択の有無による保険給付リスクの程度を測って検証されることとなる。さらに、リスク濃縮を保険料に反映することによる更なるリスク 濃縮の懸念や、競合環境において他社の類似商品の保険料よりも高い場合、保険料水準によって引き起こされる契約者行動の有無・程度を留意する必要がある。

(3)
・先進医療特約
給付対象となる先進医療技術は入れ替えがあり、保険会社は現時点での将来の給付率を適切に予測することが難しいため。
・定期保険(死亡保障)
契約者は、契約当初に低廉な保険料で大きな保障を得ることができ、更新時にライフサイクルの変化に応じて、保障内容を見直すことができるため。

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