問題
医療保険の予定発生率、予定平均給付額の決定は、死亡保険の予定死亡率に比べ困難であるといわれている。その理由を3つ挙げ、それぞれ簡潔に説明せよ。
(平成15年度大問3(1))
(1)医療保険の有する危険性はより主観的である。障害状態の存在や医的治療の必要性は、死亡の事実ほどには確定しない。また災害死亡給付については、その死亡が事故を原因とするか否かも判定しなければならない。
(2)医療保険の経験値には、死亡保険の経験値が有する危険性とは本質的に異なる次の要素がある。
– 経済・社会的動向に対してより顕著に反応すること
– 医療技術の変化、医療水準の高度化および医療機関の利便性の拡大の影響を受けること
たとえば、平均在除目数は、ベッド数が人口に対して少ない期間または地域では、短期のものにシフトすることになる。
(3)統計データの不十分さから生ずる問題。医療保険の給付には様々な種類があるため、全ての給付に対して充分なデータを蓄積することが困難。医療保険の経験値も日をおって変化する。基礎的経験率には経済・社会的動向を反映したものであることを考慮しなければならない。