問題
代表的なARTを3つ挙げ、簡潔に説明せよ。
【キャプティブ】
キャプティブは事業会社が自社の保険を引き受ける専有の子会社として設立した保険会社の事である。通常、バミューダやシンガポールなど規制が緩い国に設立する。
専業会社が付保している保険の購入先を保険会社から自社のキャプティブに変更する。キャプティブは保険責任を自社で保有せず全額出再する。多くの場合、ストップロス・カバーを採る。親会社がキャプティブに支払う保険料は、再保険料にキャプティブの維持管理費用を加えたものである。
【証券化】
集積リスクを引受けることができる受再会社は限られるため、保険リスクを証券化(Catastrophe Bondともいう)し、市場に保険金の支払いを求める方法である。元受会社は再保険会社をSPC(special purpose company、特定目的会社)として設立する。SPCは特定のリスクのみを引受ける再保険会社として定款に明記される。
元受会社とSPCの間では、保険事故を特定のリスクのみとしたCat Coverを締結する。SPCは、Catastrophe Bondと呼ばれる債権を発行し、リスクを投資家に移転する。保険事故が発生しなければ、債券は額面金額で償還され利息が支払われる。保険事故が発生した場合は、保証されていない元本および利息は再保険金として支払われ、差額のみが償還される。
【ファイナイト・リスク保険】
ファイナイト・リスク保険はELCが高騰した時に利用された。現在は、ほとんど用いられないが、財務再保険の先駆となった。種類は多岐にわたるが、例としてTime&Distance Policyを取り上げる。
Time&Distance Policyは、保険金の支払いが確実に発生するが、その額および時期がわからないものが対象となる。様々な形態があるが、基本的な仕組みは次の通りである。再保険料は、想定される保険金支払額に対し支払時期と予想利回りをもとに割り引いた額とし、期始に一時に支払う。そして、再保険金として予め定めた金額を定めた時期に支払う。
通常IBNRは利息を考慮せずに積み立てるので、IBNRを現価計算した価格で移転し減少させることで、元受会社の利益を向上させることできる。一方で、この仕組みはリスクの移転が行われているとは言えず、再保険の要件を満たしていないという考え方が支配的である。