商品毎収益検証の分析手法

問題

商品毎収益検証の分析手法を簡潔に説明せよ。(平成11年度大問2(3)①改題)

【分析手法】
分析手法は「決定論的手法」と「確率論的手法」に大別される。以下では前者の場合の代表的な手順について述べる。

(1)シナリオの設定
商品毎収益検証を実施するにあたり、生命保険商品の収益に影響を与え得る金利・死亡率・解約率等の要素について、シナリオの中心となる「最も確からしいシナリオ」を第一に設定し、次に「その周辺のシナリオ」や、保険価格の計算基礎率に組み込まれていない「起こりそうにないシナリオ」を設定する。シナリオの設定は、その変動が収益性・健全性にどのように影響するかという商品毎 の特性を考慮しつつ、将来予測の理論の信頼度を勘案して、シナリオ間の相関関係や商品設計・準備金などによるリスクへの対応状況を踏まえて、アクチュアリーの判断をもとに行うことが求められる。

(2)モデルの構築
商品毎収益検証においてモデルの役割は、現実に発生し得るであろうキャッシュフローの表現にあり、検証の目的と重要度に配慮しながらその選定・構築を行うこととなる。モデルの選定にあたっては、キャッシュフローのタイミングをどうとらえているか、検証項目をどう選定するか、検証目的と見合っているか、実務的であるか、という点が論点となる。このうちキャッシュフローのタイミングの精度は、保険年度単位のモデル、事業年度単位のモデル、月単位のモデルと進むにつれて向上するが、検証目的や実務を踏まえてモデルを選定することが必要となる。

(3)モデル・ポイントの選定
商品毎収益検証のモデルを利用して会社全体の収益検証等を行う場合、計算効率の上昇を目的として、各契約を一定の要件のもと群団化し、群団を代表する契約をモデル・ポイントとして選定する方法が取られることがある。その際、会社モデルの計算に要する時間、コンピューターの効率、 シナリオの数や検証の手法(確率論的手法、決定論的手法)、分析に求められる精度、モデル・ポイントの選定に要する作業コスト・時間が選定の要点となる。また、選定は得られたモデル・ポイントがどれほどよく会社全体の保有契約を代表しているかを見るために、ヴァリデーション(各種統 計数値とモデル・ポイントを利用して算出した数値の比較評価)をしながら、トライ・アンド・エラーで行われる。

以上3つの手順を踏みながら、収益性・健全性に対する、(a)感応度の分析、(b)特殊なシナリオを使ったストレス・テスト、(c)商品閻の相互比較、を行う。

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