営業保険料の十分性、公平性、収益性

以下の問題に答えよ。

問題

営業保険料を決定するにあたり、考慮すべき事項である「十分性」、「公平性」、「収益性」について簡潔に説明せよ。(平成17年度大問3(1)①、平成27年度大問3(1)①)

○十分性
群団にかかる費用(保険金支払、解約返戻金支払、事業費)をすべてその群団から収入する保険料で賄うことができるかという視点が営業保険料を考える上で最も重要である。なぜなら、最終的な会社の支払能力は、営業保険料の水準によって決定するからである。責任準備金の積立と配当水準の設定も重要であるが、保険契約者からの直接的な収入という意味で営業保険料が最も重要であろう。

○公平性
公平性とは、同一の保険料で保障される被保険者集団は同一の危険度を有するべきであるという理念である。(=保険技術的公平性)十分性はあくまでも群団単位で検証されるため、理論的には各契約者に対してどのように保険料を賦課するかは問題とならない。しかし、公的な保険を除けば、保険加入は任意で行われる。このため、保険契約者が納得できるような保険料率でなければならない。そのためには、群団を構成する各契約者から徴収する保険料はリスクに応じたものである必要がある。ただし、公平性を追求するあまり保険料率の細分化を行いすぎると、統計的に保険成績が安定しない可能性があるため、バランスが重要である。また、リスクが相対的に高い保険加入者の保険料が過度に高騰するなどの状況が社会的に容認されるかという視点も重要である。(=社会的公平性)

○収益性
収益性とは、設定した営業保険料により会社にどの程度収益をもたらすかという視点である。ただし、どの程度収益性が重視されるかは会社形態と配当有無によって異なる。株式会社、無配当保険は、相互会社、有配当保険と比べて収益性が重視される。収益性の指標としては、例えば内部収益率、プロフィット・マージンなどが用いられる。

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