解約控除

問題

解約控除を行っている理由を4つ挙げ、説明せよ。(平成11年度大問2(2))

【新契約費の回収】
新契約時にかかる生命保険の募集・締結にかかる経費は営業保険料の中に予定新契約費として組み込んでいる。平準純保険料式保険料積立金は、純保険料を保険料払込期間にわたり毎年均等額ずつ計上し、予定事業費/予定新契約費部分もその残額として毎年均等額ずつ計上する方式である。保険契約が解約されれば、新契約費(事業費)はすでに支出している一方で、その財源である予定新契約(保険料)の収入は完結していないことになる。このため、未回収部分を解約返戻金の算出に反映する。新契約費の回収は解約控除の最大の理由であり、次に述べる「投資上の不利益」、「逆選択防止」、「ペナルティー」は付随的なものと考えられている。

【投資上の不利益】
解約返戻金の支払のために、資産を換金したり、事前に流動性を高めたりしておくことにより、資産運用利回りが低下する。この低下分を補うため、解約控除を行う。この考え方の問題点は、一般の保険における解約控除の算式は投資上の不利益を直接反映したものではないことである。

【逆選択防止】
死亡保険では、解約するものは平均的には健康体であることが想定され、残された保険群団の死亡率は高まることになる。逆に生存保険では、解約するものは平均的に不健康な体況であることが想定され、残された保険群団の生存率が高まることになる。いずれの場合も、解約控除は残された保険群団の収支の悪化を補うものとする考え方である。ただし、この考え方には次のような問題点がある。
・解約者と残った保険群団の死亡率差を示す統計はない。
・解約控除の算式は逆選択の補償の算式ではない。
・解約者の解約控除部分を残った保険群団の収支のために積み立てておく仕組みをとっていない。

【ペナルティー】
解約に伴う様々な不利益へのペナルティーとする考え方である。ただし、公共性があり、監督当局に商品・価格の認可が必要な生命保険制度にあって単なるペナルティーということが許されるのか問題がある。

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