高額割引

問題

(1)米英で一般的に用いられている高額割引の方式を説明せよ。(平成9年度大問3(2)①)
(2)高額割引のメリット、デメリットを述べよ。(平成26年度大問2(1))

(1)営業保険料の設定における高額割引的手法として以下の2つの方式が挙げられる。
・Band method:
保険金額をいくつかの区分に分け、その区分ごとの保険金額に基づき単位保険金額あたりの保険料を設定する方式。保険金額が高くなるほど適用料率が低くなる。
・Policy fee method
単位保険金額あたりの率から求める額に、契約1件当たりの経費を加えて保険料を算出する方式。

【メリット】
・高額割引により保険金額や保険料に比例しない「1件当たりのコスト」を反映することができる。
・保険金額や保険料に比例しない「1件当たりのコスト」を反映することで、事業費の支出実態に合った保険料設定とすることができる。(費用主義の観点)
・高額割引を付与することで、他社に対する価格競争力を確保することができる。
・営業サイドとしては、高額契約獲得に対するインセンティブとなり、募集効率を高めることができる。
・「たくさん買えば割引があっても良いはず」という消費者の素朴な感覚にあう。
・事後に配当調整する方法も考えられるが、事前に保険料を割り引く方が、顧客のニーズに合っていると考えられる。また、利差のみ配当の商品や無配当商品のように、配当による調整が困難な商品に対して、コスト適正化の手法として一般的に用いらる手法となっている。

【デメリット】
・保険料の体系が複雑となり、簡明性も多少犠牲になる側面がある。また、高額割引導入時にシステム対応等にコストがかかる。
・高額割引設定時のプライシングや、その後の妥当性の検証など、実務負荷が大きくなる。
・お客様への説明の難易度が高くなり、より販売員への教育が必要となる。
・band methodの場合、適用されるバンドの境界において保険料に不連続が生じる。
・高額契約が低料化、低額契約が高料化することは、保険の持つ公共性に反する恐れがある。すなわち、本来的に保険が必要な人への割増は社会的に容認されない可能性がある。
・インフレなどが生じた場合、割引率の妥当性を確認する必要がある。また、過去に遡及して修正できず、結果的に実態と合わなくなる可能性がある。

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