以下の語句を簡潔に説明せよ。
(1)特定保険契約(平成28年度大問1(6)改題)
(2)ディスインターミディエーション(平成22年度大問1(3))
(3)ユニバーサル保険(平成11年度大問1(9)改題)
(4)変額年金の解約控除(オリジナル)
(1)特定保険契約とは、金融商品取引法の行為規制の一部が準用される、市場リスクを有する生命保険契約のことである。保険業法第300条の2において規定されている。具体的には、変額保険、変額年金保険、外貨建て保険、MVAの機能を有する保険などがこれに含まれる。
特定保険契約の販売・勧誘に当たっては、顧客の知識、経験、財産の状況および特定保険契約を締結する目的を的確に把握の上、顧客属性などに即した適正な販売・勧誘の履行を確保することが必要とされている。
(2)ディスインターミディエーションとは、金利上昇時に契約している固定金利の金融商品を解約し有利な商品に乗り換える金利裁定的現象をいう。保険業界では特に金利上昇時の解約の急激な増加や契約者貸付が異常に増える現象を指す。
かつて、米国の生命保険市場では、伝統的終身保険が主流であった。しかし、1970年代、インフレーションを原因として金利水準が大幅に上昇した。これにより、伝統的終身保険は、その予定利率が市場金利に直ちにキャッチアップできないことから、キャッチアップする他業態の貯蓄性商品との比較で競争力を失った。この結果、生命保険には保障機能のみが求められるようになり、新規契約では終身保険のウェイトが大きく低下し、定期保険のウェイトが大きく上昇した。また、既契約についても解約・失効が大幅に増加したことに加え、当時固定金利であった契約者貸付の利用が大幅に増加し、生命保険会社から多額の現金が流出する事態となった。また、株式会社においては非喫煙料率や優良体料率などが工夫されていった。相互会社においては、保障と貯蓄が分離するユニバーサル型や変額ユニバーサル型の保険商品が台頭した。
(3)ユニバーサル保険とは、米国で1970年代に商品化された保険商品であり、以下の特徴を有している。
①保険料自在性
保険料の払込について、時期と金額が契約者の自由であること。
②投資志向性
キャッシュバリューに市中金利並みの金利を付与し、他の金融機関と対抗可能なこと。
③分離性
死亡保障と貯蓄が分離されており、保険契約者にとって透明であること。
(4)変額年金には、運用資産を多くするために、一時払であっても新契約費を最初に計上せず平準的に予定事業費として計上する商品が多くみられる。その場合、解約返戻金の算出方法は平準払商品と同じような解約控除方式である。この解約控除期間は伝統的商品と異なり10年より短いことがある。
この背景として3点が挙げられる。
・変額年金では解約返戻金はその商品の重要な要素である。
・競合する商品は通常の保険商品ではなく、投資信託等の他の金融商品である。
・特定保険契約として解約控除を開示している。