商品毎収益検証の目的

問題

商品毎収益検証の目的および必要性について簡潔に説明せよ
(平成14年度問題2(2)①)

【必要性】
米国ではアセット・シェアの計算原理を応用した将来収支分析を行うことによって保険料を求めるのが実務となっている。その際、現実的な死亡率・解約率・事業費率を使い、経営者・株主から事前に提示された利益の目標およびソルベンシーの目標を満足するよう、キャッシュフローのアウトの現在価値とインの現在価値を一致させる保険料を計算している。リスクの準備をも明示的に取り込んでいる。
一方、日本では利益目標等を明示的に組み込まない代わり、保険料の計算基礎率に安全割増を組み込んでおり、これが利益の源泉となるが、保険料を求める時点では利益がいくら得られるかわからない。したがって、保険料の計算基礎に組み込まれている安全割増が将来どのように利益(剰余)として発生するかの検証、保険料の算式に組み込めなかったリスク要素の検証、責任準備金の健全性の検証が、商品単位で必要になってくる。

【目的】
商品毎収益検証の目的は、生命保険商品および商品群のキャッシュフローの特性を知るとともに、個々の生命保険商品の特性が、会社全体の収益性・健全性に与える影響を検証することである。
そのためには、生命保険商品の収益性・健全性に影響を与えると考えられる金利のシナリオ、解約率のシナリオおよび死亡率のシナリオなどの各種シナリオを設定し、生命保険商品の特性に応じた将来のキャッシュフローを算出するモデルを構築し、モデル・ポイントを選定するという3つの手順を経る必要がある。
これらを通じて、生命保険商品の収益性・健全性の感応度の分析、特異なシナリオを使ったストレステスト、商品間の収益性・健全性の相互比較を行うことが必要になる。
最終的には会社モデルを構築し、各種のシナリオが会社全体の収益性・健全性に与える影響を直接検証することになる。これらの検証結果は、今後の商品設計、販売計画の策定、経営方針の決定に利用される。

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