危険準備金の意義

問題

標準責任準備金制度の目危険準備金の意義について簡潔に説明しなさい。また、危険準備金に関し、企業会計上の引当金設定要件との関係について簡潔に説明しなさい。(平成20年度大問2(1))

危険準備金は、保険契約に基づく将来の債務を確実に履行するため、将来発生が見込まれる危険に備え、責任準備金の内訳の1項目として積立てるものである。即ち、通常の予測の範囲内の危険は狭義の責任準備金(保険料積立金・未経過保険料)で準備するが、それを超える異常な変動に備えるものとして責任準備金がある。
危険準備金は、次に掲げるリスクに備え、それぞれ区分して積み立てる。
○危険準備金Ⅰ
保険リスク(実際の保険事故の発生率等が通常の予測を超えることにより発生しうる危険)に備える。

○危険準備金Ⅱ
予定利率リスク(責任準備金の算出の基礎となる予定利率を確保できなくなる危険)に備える。

○危険準備金Ⅲ
最低保証リスク(変額保険等で保険金等の額を最低保証するものについて、特別勘定の価額が通常の予測を超える価格の変動等により、最低保証する保険金等の額を下回る危険)に備える。

○危険準備金Ⅳ
第三分野保険の保険リスクに備える。

危険準備金は、上記のように対応するリスクが明記され、それぞれのリスクに対応した積立基準、積立限度、取崩基準が法令で指定されている。対象とするリスクが現実のものとなる可能性が必ずしも高いとは限らないものもあるため、日本の現在の企業会計上負債性引当金の設定要件を満たさないかもしれないが、特別法上の準備金として整備されているといえよう。

負債の部に計上できる引当金の設定要件は以下の通り。
・将来の特定の費用または損失であること
・その発生が当期以前の事象に起因していること
・当該事象の発生の可能性が高いこと
・その金額を合理的に見積もることができること

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