問題
生命保険会社に対する法人税課税の特徴を5つ挙げ、各項目について説明せよ。(平成5年度大問2(1)改題)
(1)7%最低課税方式
一般企業は総所得で課税金額が計算されるのに対し、生命保険会社は課税所得が当期剰余金の7%相当額に満たない場合は、剰余金の7%相当額をもって課税標準とする。この場合、団体定期保険・心身障害者扶養者生命保険・再保険に係る剰余金は2分の1に減額して計算する。
(2)責任準備金繰入額
責任準備金繰入額については、保険料積立金及び未経過保険料の部分に限り、算出方法書に定められている保険料の計算基礎を基として計算した額を限度として損金算入できる。保険料積立金については平準純保険料式で計算した額を限度とする。ただし、標準責任準備金対象契約については、平成8年大蔵省告示第48号に定められた計算基礎率により計算した額を損金算入限度額とできる。
危険準備金については、平準純保険料式以外の方式により繰入した責任準備金の保険料責任準備金部分が平準純保険料式により計算した損金算入限度額に満たない場合に、危険準備金繰入額の当該満たない部分を損金算入できる。
(3)契約者配当金の損金算入
配当準備金繰入限度額を限度として損金算入できる。配当準備金繰入限度額とは、翌期初配当所要額をいう。
(4)IBNR備金の損金算入
IBNR備金はその一部が損金算入される。
(5)受取配当金の益金不算入
一般事業会社においては、法人株主が配当金を受け取った場合、すでに配当金を支払う法人の段階で、法人税が課税されているので、法人間の二重課税を排除するため、法人税法上受取配当金の益金不算入が認められている。これに対して、生命保険会社の場合は、原則として翌期配当所要額を限度として契約者配当準備金繰入額は損金処理が認められており、受取配当金の益金不算入を行ったときは、相当する金額だけ契約者配当準備金の損金算入を否認されるため、実質は受取配当金等の益金不算入が適用除外されている。