問題6 以下の問いに答えてください。(解約返戻金:意義)
解約返戻金は、平準純保険料式責任準備金に解約控除額を差し引くことで求められる。
解約控除額は以下の算式で表されることが多い。
解約控除額=$\alpha ^{*} \frac{max(0, 10-t)}{10}$
$\alpha ^{*}$: 解約控除の率
$t$: 経過年数
解約控除の理由としては以下のようなものがある。
①新契約費の回収
②投資上の不利益を補う
③逆選択防止
④ペナルティ
投資上の不利益とは具体的に何か、説明してください。
解約返戻金の支払いに備え、流動性を確保することにより生じる利回りの低下
逆選択防止という理由の問題点を答えてください。
逆選択防止とは、解約する人に比べて、解約をしない人の方が平均すると健康状態が悪いことが推測されるために解約者から解約控除を取ることで保険の収益悪化を防ぐことをいう。しかし、解約者と残った保険群団の間で健康状態が異なるという統計的なデータは存在しないこと、また、解約者の解約控除部分を残った保険群団の収支のために積み上げる仕組みを取っていないことが問題である。
問題7 以下の問いに答えてください。(解約返戻金:MVA)
金利が上昇した場合、債券価格が下がる。このときに解約が生じると保険会社は損失を被る。
こうした事態を一定程度抑制する目的で導入されたのがマーケット・ヴァリュー・アジャストメント(MVA)である。
MVAは、解約時の金利と解約時の金利の差を解約返戻金の額に反映させる仕組みである。一般的には、次の計算式を適用する。
$MVA_{t+\frac{\theta}{12}}=1-(\frac{1+( 1 )}{1+( 2 )})^{n-\frac{12t+\theta}{12}}$
$i_1$ : 契約時の利率
$i_2$ : 解約時の利率
$\alpha$ : タイムラグに対応するマージン
$n$ : 保険期間(年数)
$t$ : 経過年数
$\theta$ : 経過月数
上式の空欄に入る記号を答えてください。
1. $i_1$
2. $i_2+\alpha$
$i_1$、$i_2$を設定する際の留意点を答えてください。
金利には期間構造があるため、どの期間の利率を用いるかという問題がある。裏付けとなる資産の価額との対比を前提とするならば、$i_1$は保険期間に対応する利率、$i_2$は残存期間に対応する利率となる。
しかし、この方法だと金利変動を解約返戻金に反映させるだけでなく、金利の期間構造の影響も反映させることになり契約者に理解されにくい。
一般に金利の期間構造は順イールドであるので、上記の対応は契約者に有利であるが、わかりやすさを優先し、どちらも保険期間に対応する利率とすることも考えられる。
問題8 以下の問いに答えてください。(解約返戻金:解約リスク)
解約リスクには二つの側面があるが、それぞれを示して説明してください。
①解約益リスク
解約の増加によって過去に支出した新契約費が回収できなくなる、または、無・低解約返戻金型の商品に置いて解約が減少することにより想定していた解約収入が得られなくなるリスク
②継続リスク
解約の増加によって将来の収益が減少するリスク
問題9 以下の問いに答えてください。。(保険料率の区分の細分化)
海外の著名なアクチュアリーは料率細分化の要件として次の8項目を指摘している。
8項目すべて答えてください。
1. 同質性
2. 分離の必然性
3. 測定可能性
4. 定義が明確であること
5. 将来にむけて予測可能であること
6. 危険を減少させるインセンティブとなること
7. 制御可能性
8. 社会的に容認されること
問題10 以下の問いに答えてください。(団体保険:性質)
団体生命保険はほかの生命保険と異なる特質を含んでいる。
米国の( 1 )は、その著書「団体生命保険」(Group Life Insurance)で次の特質を挙げている。
①個人による危険選択の代わりに( 2 )が適用されている。一般に団体的保険では、個人ごとの医的診査を行わず、個人保険のような厳しい健康上の要請がない反面、個人ごとの保険金額は完全に自由に定めることはできず、客観的な基準の下に自動的あるいは任意の選択によって定まる。
②団体保険は複数の被保険者を1つの契約の下で保障することであり、通常、雇用主もしくは団体の代表者が保険契約者となり、保険者との間で契約が結ばれ、被保険者が契約の当事者となることはない。
③一括募集、( 3 )を行うことや商品内容の( 4 )による事務コストの削減により、相対的に低い料率で大量の被保険者を保障する。この経費の削減による利益は、団体の規模が大きくなるほど大きくなる。
④個々の団体の死亡経験に基づく( 5 )に従う。すなわち、各団体の実際の経験がその団体の( 6 )に直接反映される。
上記の文の空欄を埋めてください。
1. グレッグ
2. 団体選択の原理
3. 文書募集
4. 画一性
5. 経験保険料率
6. 配当
平均保険料率による方法のメリットとデメリットを答えてください。
期中の移動の度に保険料を計算しなおす手間を省くことで事務コストを削減することができる。しかし、任意加入の団体においては、若齢者が自身の年齢の料率より高い料率が適用されることに不公平感を持つことがある。