問題
国内における付加保険料に対する現在の監督体制について簡潔に説明せよ。(平成29年度大問3(1)①)
付加保険料は、従来、主務官庁の認可対象であったが、平成18年保険業法施行規則改正により事後モニタリング型の監督体制となった。この目的は、1)保険会社の経営効率化への取り組み等の経営努力を適時適切に反映させる観点から、保険料のうち保険数理に直接よらない部分を中心に商品診査を簡素化するとともに、2)事業費に関する充実したモニタリングを行うことにより、監督の実効性を図り、保険料の合理性・妥当性・公平性を確保したうえで、保険商品の価格の弾力化を推進することである。
主な変更内容は以下の通りである。
(1)保険料及び責任準備金の算出方法書において、予定事業費に関しては定性記載に留め、水準等の具体的な記述は不要となった。すなわち、予定事業費の設定は、保険業法に定める合理性、妥当性、公平性を満たしていれば、どのような算出方法を用いるかは各保険会社の判断によることとなった。
(2)一方で、予定事業費の算出方法は社内規定等で定めることとなった。なお、保険業法第5条第1項第4号(保険料における不当な差別的取り扱いの金鵄)、同300条第1条第5項(その他特別の利益の提供の禁止)の規定は従来通り適用される。
(3)金融庁が事業費の実績と付加保険料の関係を把握するために、事後モニタリングとして、商品別等に細分化した定期報告を金融庁に提出することとなった。このモニタリングにおいては、事業費のうち特に新契約時にかかる費用(イニシャルコスト)の回収状況、その他契約維持・管理のために支出する事業費(ランニングコスト)の充足状況について、販売経路や保険種類ごとに区分して測定し、これをもって付加保険料の合理性、妥当性、公平性を事後的に検証される。