問題
付加保険料の設定に際して留意すべき点を4つ挙げ、それぞれ簡潔に説明しなさい。(平成29年度大問3(1)②)
○十分性
一定の保険群団の中において、その群団から入る保険料中の付加保険料をもってその群団の運営に必要な経費のすべてを賄う必要がある。この十分性が満たされない商品が存在すれば、保険種類間の公平性の問題が生じる。したがって、十分性を考慮して付加保険料を決定する際、将来におけるインフレ懸念や顧客サービスの高度化のためのコストをどのように織り込んでいくかは重要な問題である。
○普遍性・公平性
一つの方式でできるだけ多くの保険種類の付加保険料を矛盾なく表現する「普遍性」があること。また、その一つの方式の中での保険種類間の「公平性」を確保すること。この「普遍性」と「公平性」は相反する関係にあることから、これをどう調和させるか、両者のバランスを考慮した設定が重要となる。また、「普遍性」を重視し、一つの方式を選択した場合でも、保険金額別や払方別等による公平性についても別途検討する必要がある。
○費用主義と効用主義
付加保険料を実際にかかる経費の型と大きさで賦課しようとする費用主義と、保険商品の提供する保障効用や貯蓄効用に比例した付加保険料を課そうとする効用主義の二つの考え方があり、これらを共に一定程度満足させることが求められる。
費用主義に関しては、保険種類毎の実際経費の決定において、特に間接費用をどのように分担させるかという点で困難が伴う。また、効用主義に関しては、「効用」とは何か、その指標として何が適当かが問題となる。これらの費用主義と効用主義の是非については、そのいずれかに基づいた付加保険料式で考えるというのではなく、保険会社における実際支出を十分にコスト分析したうえで、両者をバランスよく調和させた付加保険料方式を採用すべきである。
○簡明性・実行可能性
実務的には、簡明・簡易な方式が望ましい。