リスク調整済み期待値アプローチ

問題

変額年金保険の最低保証に係る責任準備金の積立においてリスク調整済み期待値アプローチを採る場合の基本的な考え方について説明せよ。(オリジナル)

リスク調整済み期待値アプローチとは、無裁定価格の導出のためのリスク中立測度を含む、広くリスク調整に相当する測度変換後の確率分布の下での期待値をとる方法である。
特に保険料一時払のプレーンなGMDBやGMMBのような商品の場合には、典型的なBlack-Sholesモデルのセットアップを採用すると解析解が得られ、計算式は比較的簡明なものになる。このセットアップに用いられる対数正規分布は株価収益率のファットテイルを表現できないという弱点を持つが、市場で売買される長期オプションの価格から逆算されるインプライド・ボラティリティを用いれば市場整合的な評価への接近が可能になる。また、リスク調整済み期待値アプローチでは、CTEの理論的弱点である通時一貫性の問題を回避できる。ただし、真の市場整合的評価に近づけるには、金利の期間構造や、オプション期間とインザマネーの度合いに応じたインプライド・ボラティリティの違いの反映等が必要である。

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