経済価値のヘッジと会計価値のヘッジ

問題

変額年金保険の最低保証における「経済価値のヘッジ」と「会計価値のヘッジ」のそれぞれに概要について、両者の違いを踏まえたうえで簡潔に説明せよ。(平成23年度大問2(2))

変額年金保険の最低保証における経済価値のヘッジ」と「会計価値のヘッジ」は、ヘッジの対象となる最低保証の価値について、経済価値で評価した負債を用いるか、あるいは会計上の負債(責任準備金)を用いるか、という点で異なっている。
経済価値のヘッジは、デリバティブによる負債の経済価値の複製とそれによるリスクの中和を意図しており、経済価値の変動の抑制を目的としている。ヘッジ手法としては、原資産価格に対応する感応度であるDe1ta,Deltaの感応度であるGa㎜a、原資産ボラティリティの感応度であるVega、金利の感応度であるRhoといったリスクパラメータに分解し、Deltaに対しては主に先物を、Ga㎜aやVegaは主にオプションを、Rhoは主に金利スワップを用いる等、リスクパラメータに応じたヘッジ手法を用いる。また、比較的短期でロールが必要な先物等を用いた動態ヘッジと長期のオプションの買い持ちによる静態ヘッジ、あるいはその混合がある。なお、経済価値のヘッジは、解約等のモデルリスク等により完全なヘッジは困難が伴うことや、負債が時価評価されない会計とはミスマッチが生じる等の課題がある。
会計価値のヘッジは、貸借対照表上の純資産の変動や、損益計算書上の損益の変動をコントロールすることを目的としているが、一般的に、責任準備金は制度上負の値を取らないこと、責任準備金の基礎率は金融市場のパラメータと構造・水準が一致しないこと等から、デリバティブによる負債価値の複製は困難である。また、最低保証の責任準備金の基礎率がロックインされ、金利やボラティリティが固定されることから、先物以外のヘッジは使いづらいこととなる。

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