数理的寄与分計算

問題

保険相互会社の株式会社化における数理的寄与分計算上の次の(1)から(3)の実務的な課題について、対応方法を含め簡潔に説明せよ。
(1)寄与分計算の計算単位
(2)数理的寄与分が負値となる契約の取扱い
(3)過去の実績に関する経験率

(1)寄与分計算の計算単位
・必ずしも1件ごとに直接計算する必要はなく、契約条件のいくつかが同一である保険契約群団等の数理的寄与分を求めた上で、その結果を群団に属する契約ごとに割り振ることが認められている。
・保険契約群団は過去の配当率の設定において想定されてきた群団を考慮することが望ましい。
・また、保険契約群団の数理的寄与分を群団に属する契約ごとに割り振るための算出式は、群団内から適切な種類と数のモデル契約を選択して、適当な要素、係数等を設定することが考えられる。

(2)数理的寄与分が負値となる契約の取扱
・寄与分が負値となる契約が存在する場合、どの段階で負値を0に置き換えて合計するかという問題がある。
・実務基準では衡平性に留意するという条件の下で、契約毎(あるいは主契約・特約毎)、社員毎、区分経理上の商品区分毎のいずれかの単位で0とする方法を認めている。
・負値の取扱いにより数理的寄与分の実態が影響を受けるが、数理的寄与分計算は株式割当ての比率を決定することが目的であるため、社員間の衡平性が損なわれていなければ、株式割当ての問題はない。
・ただし、組織変更剰余金額の計算において、現社員の数理的寄与分の実額が使用されるため、負値の取扱いによる影響を考慮する必要がある。

(3)過去の実績に関する経験率
・過去の実績に関する経験率については、入手可能な経験値調査や数理的分析の記録等を調べた上で、会社の実際の経験値を反映する。
・信頼に足りる会社データや契約毎あるいは保険契約群団の経験率が入手できない場合は、例えば、過去の行政当局への報告書や同時期の保険料計算基礎率、業界全体の経験調査など、間接的な情報を利用することができる。
・保険区分に直接賦課する項目ではなく、配賦する項目(事業費、運用収益、法人税等)については、過去の実務上配賦がどのようにされてきたかを理解する必要がある。

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