事業費モニタリング

問題

金融庁の事業費モニタリングについて導入された背景及び概要を簡潔に説明せよ。(平成25年度大問2(3))

【導入の背景】
・金融庁は、保険会社の経営効率化への取り組み等の経営努力を保険料に適時適切に反映させる観点から、保険料のうち保険数理に直接よらない部分を中心に商品審査を簡素化するとともに、事業費に関する充実したモニタリングを行うことにより、監督の実効性の向上を図り、保険料の合理性・妥当性・公平性を確保したうえで、保険商品の価格の弾力化を推進するために、平成18年に保険業法施行規則および保険会社向けの総合的な監督指針を改正した。
・これにより、保険料及び責任準備金の算出方法書の記載事項から「予定事業費に関する事項」が削除され、予定事業費の算出方法は社内規定に定めることとなる一方、金融庁が事業費に実績と保険料の関係を把握するために、各生命保険会社は事後モニタリングとして、商品別等に細分化した定期報告を金融庁に提出することとなった。

【概要】
・各生命保険会社は、イニシャルコストの負担方法、イニシャルコストを回収するための予定事業費の収納方法などの差異を勘案して報告する単位としての販売経路および保険種類の区分を設定し、イニシャルコスト・ランニングコストに区分して各種の事業費支出状況・予定事業費収入状況を金融庁に定期的に報告しなければならない。特に、イニシャルコストの回収状況およびランニングコストの充足状況のモニタリングに主眼が置かれている。
・イニシャルコストは「新契約獲得のために支出する事業費」、ランニングコストは「契約維持・管理のために支出する事業費で、イニシャルコストとして把握する項目以外の事業費」を意味し、各社が実態に即して適宜設定することとなっている。

【金融庁の提出する資料】
「5-5 予定事業費等の設定状況」
保険種類・特約種類ごとに予定事業費・解約控除の設定方法を記載。新商品発売時、または予定事業費・解約控除の設定を変更した都度、翌月に報告する。

「5-6 総合的な充足状況」
イニシャルコスト・ランニングコストの充足状況を総括的に見るための資料。年単位で報告する。

「5-7 イニシャルコストの充足状況」
保険種類・販売経路区分ごとの新契約に係る事業費の効率等を見る資料。四半期毎に報告する。
具体的には、「①予定事業費現価」、「②事業費」、「③年換算予定事業費」を算出し、「効率(②/①)」および「回収予定平均年数(②/③)」を報告する。

「5-8 イニシャルコストの回収状況」
保険種類・販売経路区分ごとの新契約に係る事業費の、解約控除を考慮した回収状況を見る資料、年単位で報告する。
具体的には、最大5年間について、契約事業年度単位で、「5-7 イニシャルコストの充足状況」を年度単位にまとめたものの他、「⑦予定事業費」、「⑧事業費」、「⑨解約控除・消滅契約未回収残高」、「⑩未回収残高」、「回収見込年数」を報告する。

「5-9 ランニングコストの充足状況」
保険種類・販売経路区分ごとの契約維持・管理のために支出する事業費の回収状況を見る資料。年単位で報告する。
具体的には、過去5年間分について、契約事業年度単位で、「⑪予定事業費」、「⑫事業費」、「収支(⑪-⑫)」を報告する。

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