解約リスク

問題

解約リスクの2つの側面である「解約益リスク」と「継続リスク」について簡潔に説明しなさい。また、解約の増減が収益性に与える影響について、「伝統的な終身保険」および「低解約返戻金型の終身保険」のそれぞれの場合において説明しなさい。(平成26年度大問2(3))

【解約益リスク】
・過去に起因するリスクである。解約の増加によって、過去に支出した新契約費が回収できなくなる。または、解約の減少によって保険料率で想定していた解約収入が得られなくなる。

【継続リスク】
・将来に向けてのリスクである。解約の増加によって将来の収益が減少するものである。収益の変動をリスクと認識すると非常に大きい。ただし、逆ザヤや契約など基礎率と比べて実績が悪化している場合には、解約が増加した方が収益が増大する。

【解約の増減が収益に与える影響】
○伝統的な終身保険
・(解約控除前の)解約返戻金は、解約時の持分を変換するのみであるから、基本的に収支に影響を与えない。
・新契約費が償却できているか、解約控除が適正に設定されているか、という点での検証が主となり、それ次第で解約益リスクの方向が決まってくる。一般的には解約控除を低く設定しているので解約が増えた方が収益性は悪化する。
・本商品は終身保険であるから、一般に解約により長期の将来収益を喪失することとなり、継続リスクは大きくなる。

○低解約返戻金型商品
・保険料計算において解約益を見込んでいるため、一般的には解約益リスクを考える必要がある。
・契約初期においては将来利益が十分大きく、解約が増加した場合、解約益の増加よりも将来利益の喪失の方が大きく、収益性が悪化する。
・しかし、経過が進んでくると、その関係が逆転し、解約が増えた方が収益が増加する。

○両商品共通の事項
・逆ザヤ契約など基礎率に比べて実績が悪化している場合については、解約が増加した方が収益が増加する。
・解約率の変動に伴いキャッシュフローが想定と異なることにより運用収益が悪化するという、投資上の不利益が生じることが考えられる。
・解約の増加に伴いリスク濃縮が起こり、将来的な収益性の悪化につながる場合が考えられる。

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