問題
「責任準備金が健全な保険数理に基づいて積み立てられていることの確認」の方法を「生命保険会社の保険計理人の実務基準」に即して答えよ。
保険計理人は「責任準備金が健全な保険数理に基づいて積み立てられていることの確認」を以下の通り行わなくてはならない。
①当年度末の責任準備金が規則第69条第1項、第2項および第4項に規定する通り適正に積み立てられていること
②法121条第1項第1号の確認に関する将来収支分析を行い、将来の資産の状況などを考慮して責任準備金が十分であること(なお、1号収支分析の対象となる責任準備金は原則として対象保険契約の事業年度末における保険料積立金であり、特に必要な場合は未経過保険料を含むこととする。)
ただし、以下の契約は1号収支分析の対象外である。
1)責任準備金が特別勘定に属する財産の価額により変動する保険契約であって、保険金等の額を最低保証していない保険契約
2)保険料積立金を積み立てない保険契約
3)保険約款において保険会社が責任準備金および保険料の計算の基礎となる係数(平成13年7月1日または平成13年4月1日以降締結する保険契約については責任準備金および保険料の計算の基礎となる予定利率)を変更できる旨を約してある保険契約
4)その他責任準備金の計算の基礎となるべき係数の水準について、必要な定めをすることが適当でない保険契約
上記①の確認は以下の通り行う。
1)責任準備金が、決算期において「保険料積立金」「未経過保険料」「危険準備金」の区分に応じて、保険料及び責任準備金の算出方法書に記載された方法に従って計算され、積み立てられていること
2)保険料積立金は、標準責任準備金対象契約は標準責任準備金を下回っていないこと。それ以外の契約は金融庁長官の認可に基づく責任準備金を下回っていないこと。
3)危険準備金は規則第69条第6項に規定する危険準備金に区分して積み立てられていること
上記②の確認は1号収支分析(1)(確率論的シナリオ)または1号収支分析(2)(決定論的シナリオ)に基づき毎年行うものとし、分析期間は将来10年間および原則として全期間(すべての保険契約が消滅するまでの期間)の2種類とする。また、1号収支分析は、区分経理の商品区分毎に行う。ただし、保険計理人が特に必要と判断する場合は、さらに細分化した保険契約群団毎に1号収支分析を行うことができる。保険計理人が合理的であると判断する場合は、複数の商品区分をまとめて、1号収支分析を行うことができる。
1号収支分析の結果、分析期間中の最初の5事業年度末に必要な責任準備金の積立が不可能となった場合、保険計理人は、現状の責任準備金では不足していると判断し、会社がその責任準備金不足相当額の解消に必要な額を積み立てる必要があることを意見書に示さなければならない。ただし、健全性維持の観点から、特に問題ないと判断される場合は、「ただちに積み立てる」のではなく、「責任準備金不足相当額を最長5年間にわたり、分割して、計画的に積み立てる」旨の記載をすることができる。なお、この場合において、責任準備金不足相当額の分割積立計画およびその財源について附属報告書に記載し根ければならない。
この責任準備金不足相当額は、分析期間中の最初の5事業年度末に生じた責任準備金の不足額の現価の最大値(確率論的シナリオでは上位10%を除いたものの最大値)とする。
1号収支分析の結果、責任準備金不足相当額が発生した場合において、保険計理人は、以下の経営政策の変更により、責任準備金相当額の一部又は全部を積み立てなくてよいことを意見書に示すことができる。ただし、これらの経営政策の変更は、ただちに行われるものではなくてはならない。
(イ)一部または全部の保険種類の配当率の引き下げ
(ロ)実現可能と判断できる事業費の抑制
(ハ)資産運用方針(ポートフォリオ)の見直し
(ニ)一部または全部の保険種類の新契約募集の抑制
(ホ)今後締結する保険契約の営業保険料の引き上げ