問題1 空欄を埋めなさい。(区分経理)
Ⅱ-2 財務の健全性
Ⅱ-2-4 生命保険会社の区分経理の明確化
Ⅱ-2-4-1 意義
生命保険会社においては、( 1 )・透明性の確保、( 2 )の遮断、( 3 )の効率化、商品設計や価格設定面での創意工夫などを図る観点から、一般勘定について保険商品の特性に応じた区分経理を行うことが重要である。各生命保険会社において自己責任原則のもと、保険経理の透明性、保険契約者間の公平性確保等の観点から、適切な区分経理が行われる必要がある。また、区分経理を導入するにあたっては、( 4 )の配分方法、( 5 )の配賦方法等について、アセットシェア等に基づき適切に配分方法が定められていることが重要である。
1.利益還元の公平性
2. 保険種類相互間の内部補助
3. 事業運営
4. 資産
5. 含み損益
問題2 アセットシェアについて以下の設問に答えなさい。
(1)選定単位について最低限区分して、設定しなければならない項目を答えてください。
① 区分経理の商品区分
② 保険事故の種類
③ 契約経過年度
(2)選定単位についてさらに細かく区分することができる項目を答えてください。
① 基礎書類上の保険種類
② 販売経路
③ 危険選択手法
④ 性別
⑤ 契約年齢
⑥ 保険料払込方法
⑦ 保険金額
⑧ 保険期間
問題3 空欄を埋めなさい。
Ⅱ-2-4-2 主な着眼点
各生命保険会社においては、適切な区分経理を行うため、例えば、以下のような考えに基づく区分経理に関する管理方針を策定しているか。また、区分経理の状況が、取締役会その他これに準ずる機関に対して報告されているか。
(1) 商品区分
商品区分においては、損益及び負債の管理を行うものとする。商品区分は、 各生命保険会社における商品の特性や保有状況に照らして、損益を把握する単位として適切なものとなっている必要があり、保険の性質の相違等により理論的・合理的な区分とする必要がある。従って、新商品の発売による当該保有契約の増大やある商品区分の中の一部の保険種類の契約の増大など、会社全体の収支に重大な影響を与えるような場合等は、新たな商品区分を設定して管理することが望ましい。また、設定した商品区分については、保有契約が減少し、商品区分の存在意義がなくなった場合等、合理的な理由がある場合を除き、その変更は行わないものとする。
(2) 全社区分
例えば、次の機能を受け持つものとして、全社区分を設定する。
① ( 6 )
② ( 7 )
③ ( 8 )
④ ( 9 )
6. 死亡保障リスク等のリスクバッファー機能
7. 新商品開発に係る事業運営資金提供機能
8. 会社全体で共有する資産・共通する経費等の管理機能
9. 現預金等の管理機能
(3) 資産区分
資産区分は、商品区分に対応した適切な区分を設定する。また、資産区分の資産が減少し、資産区分の存在意義がなくなった場合は、当該資産区分は廃止し、他の資産区分に統合する。この場合、いずれの契約にも帰属しない残余財産は全社区分に統合する。
(4) 負債・純資産の配賦方法
① 商品区分への配賦
保険契約準備金(危険準備金を除く。)、再保険借等は各商品区分に直課する。直課できないものは、区分経理に関する管理方針に基づいて配賦する。
② 全社区分への配賦
純資産の部(繰越利益剰余金・未処分剰余金、評価・換算差額等を除く。)、価格変動準備金、危険準備金、その他商品区分に配賦されない負債を配賦する。
(5) 資産の配賦方法及び管理基準
① 運用資産の配賦方法
運用資産は、原則として、資産の購入時に配賦する資産区分を決める。
② 運用資産の管理
運用資産は、資産区分ごとに、次に掲げる方式の中から適切な方式を選択し管理する。
ア. ( 10 )・・・ 個々の資産を銘柄ごとに、資産区分に直接帰属させる方式
イ. ( 11 )・・・ 取引単位(例えば、不動産では物件ごと)ごとに、資産区分の持分で管理する方式
ウ. ( 12 )・・・ 投資対象資産ごとのマザーファンドを設定し、各資産のマザーファンドに対する持分を管理する方式
(注) 資産持分管理方式を用いる場合は、一般勘定資産(( 13 )に対応する資産を除く。)全体を一個のマザーファンドとして扱わない。
③ 運用資産以外の配賦方法
再保険貸等、各資産区分に直課できるものは直課し、直課できないもの は、区分経理に関する管理方針に基づいて配賦する。
④ 全社区分の資産
( 14 )、子会社・関連会社株式、現預金(現預金等の管理機能を持つ場合)、その他全社区分に配賦することが相応しい資産の全部又は一 部を配賦するものとする。
10. 資産分別管理方式
11. 資産単位別持分管理方式
12. 資産持分管理方式
13. 無配当保険
14. 営業用不動産
(6) 損益の配賦
① 保険関係損益
保険料等収入、保険金等支払金、責任準備金繰入額等は各商品区分に直課する。
② 運用資産関係損益
資産が帰属する資産区分に配賦し、さらに対応する商品区分・全社区分 に直課又は持分に応じて配賦する。なお、一つの資産区分で複数の商品区分を管理している場合は、区分経理に関する管理方針に基づいて配賦する。
(7) 各区分間の取引等
① 資産区分間の取引
資金移動(流入・流出)管理、流動性確保、ポートフォリオの改善等、 必要な取引とし、市場価格等の適正な価格をもって適切に管理する。
② 商品区分と全社区分との取引
ア. 現預金等の貸借
(ア) 商品区分又は全社区分毎に区別して管理する。
(イ) 借越しが継続しないよう限度額等を設ける。
イ. 現預金等以外の貸借
(ア) 全社区分から商品区分への貸付は、異常な保険金の支払い、新商品の販売に伴う事業運営資金、その他やむを得ない事情がある場合に限る。
(イ) 商品区分から全社区分への貸付は、全社区分の規模が小さいために、その機能を十分に果たすことができない場合に限る。
(ウ) 上記の貸借は、金額、利率(貸付期間に応じた市中金利等を基に設定すること)、期限その他の返済条件をあらかじめ定める。
(エ) 貸付条件の緩和や債務免除は、回収が不可能な損失が発生している場合等、やむを得ない事情がある場合を除き、行わない。なお、貸付条件の緩和等を行った後に利益が生じた場合は、当該利益を返済に充てるものとする。
ウ. 出資
(ア) 全社区分から商品区分への出資は、異常な保険金の支払い、新商品の販売に伴う事業運営資金、その他やむを得ない事情がある場合に限る。
(イ) 商品区分から全社区分への出資は、全社区分の規模が小さいために、その機能を十分に果たすことができない場合に限る。
(ウ) 出資を受けた商品区分又は全社区分において、剰余金が発生した場合は、出資に対応する金額を出資した商品区分又は全社区分に配分する。
(エ) 出資は返済することができる。
エ. その他の取引
(ア) 全社区分において、資本又は危険準備金等を積み増す際に、各商品区分からその負担する積み増し額を受け入れる取引
(イ) 資本又は危険準備金等を取崩し、その取崩し事由の発生した商品区分に、その対応する金額を支払う取引
(ウ) 転換等により、責任準備金等を転換等を行った後の商品区分に支払う取引
(エ) 新契約費を全社区分から支払う場合に、商品区分から全社区分に新契約費相当分を支払う取引
(オ) 全社区分における共有資産等に対する対価として、各商品区分が使用料等を支払う取引
(カ) 商品区分における特定のリスク発生による損失実現時に、全社区分から当該商品区分に当該損失実現額を支払う取引(あらかじめ保険数理的に定められた対価を支払ったものに限る。)
(キ) 商品区分において、将来回復が見込めない重大な損害が発生し、 全社区分からその損害のてん補を受ける取引(全社区分が他の商品区分から当該損害のてん補のためにてん補を受ける場合を含む。)。ただし、この取引によりてん補を受けた場合は、受け入れた商品区分に係る商品についての新規募集停止や保険料の適正化等所要の措置を講じる。
(ク) 全社区分において、将来回復が見込めない重大な損害が発生し、 商品区分からその損害のてん補を受ける取引
(以下略)