問題1 空欄を埋めなさい。
Ⅱ-3 統合的なリスク管理態勢
Ⅱ-3-3 リスクの測定
Ⅱ-3-3-1 意義
リスクが保険会社に与える影響の大きさと顕在化する可能性を評価するため、 リスク計量モデル、ストレステスト及びシナリオ分析など、将来を見通した適切な定量的手法を使用して、リスクを定期的に測定する必要がある。
Ⅱ-3-3-2 リスクの測定
(1) 多様なリスクを総合的に把握するため、少なくとも保険引受リスク、資産運用リスク(市場リスク、信用リスクなど)、オペレーショナル・リスク を含む全てのリスクのうち重要なリスク(重要なグループ会社に係るリスク を含む。)を測定するものとなっているか。
(2) リスクの計量化にあたっては、例えばトータルバランスシートの経済価値評価によるなど、共通の基準の下で計量化することを基本としているか。また、計量化の基準については、客観性、適切性を確保しているか。例えば、( 1 ) を用いる場合の信頼区間及び保有期間の設定の考え方は明確になっているか。
(3) 直近の状況に基づくリスクの測定に加えて、経営計画や経営環境を踏まえ、( 2 )の変化、商品構成の変化等を、リスク測定へ反映しているか。 又は、その影響を分析しているか。
(4) リスクの計量化に関して精度の向上や対象リスクの拡大のための検討や取組みを行っているか。例えば、異なる種類のリスクの間における相関(( 3 ))について、適切性を確保すべく検討や研究を行っているか。 また、通常の経済環境時には強い相関を示さない巨大災害リスクや市場リスクは、ストレス環境下では相関が高い可能性があるが、こうした( 4 )の相関について検討や研究を行っているか。さらに、オペレーショナル・リスクに関して、まずはオペレーショナ ル・リスクそのものを軽減するような経営を行うべきであるが、その上で計量化に関して評価方法やデータ収集などの検討や研究も継続的に行って いるか。
(5) リスク測定においては、リスクの性質、規模、複雑性及び信頼性のあるデータの入手可能性に応じて、適切な手法が用いられているか。例えば、損害保険の一部の巨大災害リスクを測定するのには複雑なモデルが適切である一方、他の場合には、比較的簡易な計算が適切であることもありうることを踏まえ、各社でとりうる最善の手法に基づいているか。
(6) リスク計量モデルは、高度なモデルを導入したとしても、一定の( 5 )が存在し、リスクを全て完全には捉えられないが、経営陣はこのようなモデルの( 5 )を理解しているか。
(7) 保険会社は、内部モデルが重要な戦略上、事業上の意思決定を支援又は検証するツールとなりうることを十分認識しているか。また、使用される内部モデルについて、定期的に検証すると共に、必要に応じて第三者による検証(外部の専門家による検証を含む。)を受けることも検討するなど、モデルの信頼性確保に向け、不断の取組みを行っているか。
(8) リスク測定において、カバーしているリスク、使用した測定手法及び使用に当たっての主要な前提条件を、適切に文書化しているか。
1.VaR
2. 保有契約高
3. 分散効果
4. テールリスク
5. 限界
問題2 以下の設問に答えてください。
トータルバランスシートの経済価値評価とは何のことか、説明してください。
市場価格に整合的な評価又は、市場に整合的な原則・手法・パラメ ーターを用いる方法により導かれる将来キャッシュフローの現在価値に基づく評価をいう。なお、現時点において、例えば保険契約に含まれているオプション・保証に起因するリスクの評価等は、将来キャッシュフローの分布を考慮する必要があるが、完全に確立された評価手法はなく、各社でとりうる最善の手法を含む。
問題3 以下の文章を読んで設問に答えてください。(ストレステスト)
Ⅱ-3-3-3 ストレステスト
Ⅱ-3-3-3-1 主な着眼点
保険会社は、将来の不利益が財務の健全性に与える影響をチェックし、必要に応じて、追加的に経営上又は財務上の対応をとって行く必要がある。そのためのツールとして、感応度テスト等を含むストレステスト及びリバース・ストレステストが重要である。特に、市場が大きく変動しているような状況下では、VaR によるリスク管理には限界があることから、ストレステストの活用は極めて重要である。保険会社においては、市場の動向等も勘案しつつ、財務内容及び保有するリスクの状況に応じたストレステストを自主的に実施することが求められる。 なお、ソルベンシー・マージン比率の算出、将来収支分析等他の法令等の規定がある場合は、以下の指針にかかわらず、当該法令等の規定に従うものとする。
(1) ストレステストに際しては、ヒストリカルシナリオのみならず、仮想のストレスシナリオによる分析も行っているか。なお、仮想のストレスシナリオについては、 内外の経済動向に関し、株式の価格、金利、為替、信用スプレッドなど、 保険会社の保有するリスクに応じて、複数の要素についてストレスシナリオを作成しているか。さらに、これらの要素のうち、複数の要素が同時に変動するシナリオについて、前提となっている保有資産間の価格の相関関係が崩れるような事態も含めて検討を行っているか。こうしたストレスシナリオの設定において、保有する資産の市場流動性が低下する状況を勘案しているか。
また、随時解約可能であって払込保険料の大部分が保証されている貯蓄性の高い保険や変額年金保険のようなオプション・保証性の高い要素については、その特性を考慮した上で、適切なストレスシナリオを設定しているか。このほか、再保険取引やデリバティブ取引等に係るカウンターパーティーリスクを考慮してストレスシナリオを設定しているか。
また再保険取引及び類似するリスク移転取引については、巨大災害等発生後の再保険キャパシティの低下やリスク移転コストの増加等を考慮してストレスシナリオを設定しているか。
さらに、ストレステストに使用されるモデルの信頼性について、定期的に検証されているか。
(2) ストレステストの設定に際しては、取締役会において、保険会社におけるリスク管理の方針として、基本的な考え方を明確に定めているか。その際、基本的な考え方は、統合リスク管理との間に矛盾がなく、かつ、統合リスク管理の計量化手法で把握できないリスクを捉えるとの観点からの配慮がなされているか。また、取締役会等において、定期的に、かつ必要に応じ随時、保険会社の業務の内容等を踏まえ、設定内容を見直しているか。
(3) ストレステストを実施するにあたって、必要となる専門知識と技術を有する者が関与しているか。
(4) ストレステストの結果については、代表取締役又は担当取締役により定期的に十分な検証・分析が行われ、リスク管理に関する具体的な判断に活用される態勢が整備されているか。
(5) ストレステストを実施する部門とは独立に、会社全体でストレステス トが的確に設計され、かつ実施されているかを確認する体制がとられているか(業務部門とは独立したリスク管理部門において、統括的にストレステストを実施している場合を除く。)
(6) 経営危機に至る可能性が高いシナリオを特定し、そのようなリスクをコントロールすべく必要な方策を準備するため、リバース・ストレステストを定期的に実施しているか。
(7) 支店形態での免許を有する保険会社については、当該支店を対象とし たストレステストを実施しているか。また、本店において実施されたストレステストをできる限り入手し、全体でのリスクの把握に努めているか。
ストレステストとは何か、説明してください。
想定される将来の不利益が生じた場合の影響に関する分析
リバース・ストレステストとは何か、説明してください。
経営危機に至る可能性が高いシナリオを特定し、そのようなリスクをコントロールすべく必要な方策を準備するためのストレステスト
ヒストリカルシナリオとは何か、説明してください。
過去の主な危機のケースや最大損失事例の当てはめ
カウンターパーティーリスクとは何か、説明してください。
取引相手の信用リスクのこと。 外国為替取引やデリバティブ取引で、相手先の金融機関のことを「カウンターパーティー」と呼びます。