標準死亡率2018(死亡保険用)②

問題

 生保標準生命表2018(死亡保険用)の作成過程について、生保標準生命表2007(死亡保険用)の作成過程からの主な変更点とその変更理由に触れながら、簡潔に説明しなさい。
ただし、作成過程を変更しなくても用いる基礎データの変更によって自動的に生じる変化(最終年齢および補正の接続年齢等)について言及する必要はない。(2018年度大問2(1))

【基礎データ】
生命保険会社29社の実績の提供を受け、粗死亡率作成の基礎とした。基礎データは、有診査男女別、経過年数30年以下のものである。さらに、死亡率の安定性・安全性の確保及び経験死亡率の選択効果の実態を勘案し、観察年度及び截断年数を以下の通り設定した。
・観察年度
生保標準生命表2018(死亡保険用)(以下、生命表2018):2008、2009、2011観察年度(2010観察年度は東日本大震災の影響を除くため除外)
生保標準生命表2007(死亡保険用)(以下、生命表2007):1999~2001観察年度
ただし、若齢においては、6観察年度有無診査合計に置き換えている。この際、「有診査粗死亡率の95%信頼区間の上限」が「有診査粗死亡率の130%」を上回る年齢を接続年齢とした。さらに、6観察年度有無診査合計による検証で「粗死亡率の95%信頼区間の上限」が「粗死亡率の130%」を上回る年齢については第21回生命表(2010年)に置き換えた。
生命表2007でも同様に若齢の補整を行っているが、最後の置き換えには平成14年~平成16年簡易生命表の平均値を用いている。
なお、男女とも81歳以上の高齢においても長寿化の進展を踏まえ、6観察年度の経験データ(有診査)を用いた。その際、3観察年度の経過契約件数が10万件以下となる年齢を接続年齢とした。
・截断年数
選択効果を排除するため、最大10年間の截断を行った。
生命表2007では最大5年間としていた。

【死亡率改善】
国民死亡率の実績が判明している最初の5年間は、男性:2.5%、女性2.0%と年平均改善率を推計し適用した。残りの3年間は国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口の推計結果から男女:1.0%の年平均改善率を推計し適用した。

【第1次補整】
ここまでで算出した補整前死亡率に対し、単年度のブレへの対応、母数(会社規模)の差による違いの吸収、将来の死亡率変動への対応の観点から数学的危険論に基づく補整を行った。具体的には、標本死亡率が正規分布に従うと仮定し補整前死亡率に2σを加えた。ただし、補正後死亡率は補整前死亡率の130%が上限とした。なお、この補正で用いる標本の大きさは、直近の各社の契約件数を踏まえて100万件(生命表2007では400万件)とした。

【第2次補整】
死亡率の偶然変動を除去しつつ、粗死亡率の特徴を維持するためグレビルの3次13項式による平滑化を行った。

【第3次補整】
高齢の死亡率についてはデータが十分でないことから、ゴムパーツ・メーカムの法則に基づく補外を行った。

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