ヴァリデーション

問題

商品毎収益検証のモデル・ポイントの設定において行うヴァリデーションについて、簡潔に説明しなさい。なお、ヴァリデーションを行う主な項目を挙げるとともに、ヴァリデーションを行う際の留意点についても触れること。(平成29年度大問2(1))

商品毎収益検証に用いたモデルを利用して将来収支分析を行う場合、計算効率を上げることを目的として、各契約を一定の要件のもと群団化し、群団を代表する契約を選定する方法が取られることがある。この代表契約のことをモデル・ポイントという。

このモデル・ポイントが群団をいかに良く代表しているか評価することをヴァリデーションという。
具体的には、会社全体の各種統計数値とモデル・ポイントを利用して算出された数値の差または比を評価することをいう。
ヴァリデーションを行う項目としては、保有件数、保険金額、事業年度末保険料積立金等が考えられる。項目が多ければ多いほど精度の高いヴァリデーションを行うことができる。
ヴァリデーションの結果、会社全体の各種統計数値とモデル・ポイントを利用して算出された数値の差または比が小さければ良いモデル・ポイントとなる。
ヴァリデーションを行う項目は、損益に与える影響等、重要度に応じて選定することが必要であり、特に事業年度末保険料積立金の重要性は高い。ある一時点における統計数値に対して良い近似を与えるモデル・ポイントであっても、将来の各時点で良い近似を与えるとは限らない。

例えば次の方法でより精度の高いヴァリデーションを行うことが考えられる。
1.保険期間満了以外の死亡・解約等の脱退を見込まないで、保有契約全体の将来の数値およびモ デル・ポイントによる将来の数値を計算し比較する方法
2.過去の統計数値について死亡の選択効果や解約率等の仮定からモデル・ポイントを利用して逆算し、保有契約全体の過去の統計数値と比較する方法

確率論的手法による計算を行うなど、多数のシナリオでの計算を行う際は、ベストエスティメイトのシナリオだけでなく、ストレスシナリオにおいてもヴァリデーションを行う必要がある。 ヴァリデーションの結果、乖離があった場合には、「選定単位」の再検討などを行う必要がある。 モデル・ポイントの選定は、ヴァリデーションを行いながらトライ・アンド・エラーで行うこととなる。

将来収支分析は死亡の選択効果、解約、金利等の多くの前提に基づくものであるが、将来のこれらの前提を確実に予想する理論は現在のところ存在しないため、シナリオを用いた将来収支分析を併用することで最善を求めている。最善の分析を行うためには、将来収支分析の前提となるモデル・ポイントの正確性をヴァリデーションにより確認することが必須である。

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