公平な契約者配当

問題

生命保険会社が公平な契約者配当を実施するにあたり、剰余金の分配に関して留意すべき事項(原則)について、重要と思われる順に説明せよ。(平成7年度大問2(1))

原則1:会社の健全性と契約者利益の確保が個々契約者間の厳密な公平性に優先する。
(説明)
ある種類で赤字を出した場合は他の利益を生んでいる種類の剰余で賄う必要がある。また、将来にわたる支払能力を確保するためには配当率を一律に削減することも必要になる。

原則2:原則1を充足している限りにおいて計算基礎率の異なっている契約群間で実質的な公平性が維持されねばならない。各契約群はその料率からの剰余で出来る限り常に自立する必要があり、約定による債務の履行のための準備金を持たねばならない。
(説明)
例えば、災害給付を行う保険種類では将来の損失に備えて準備金を持つ必要がある。また、同一保険種類で計算基礎の異なったものについては、将来損失の生ずる確率は異なると考えられるので危険準備金の持ち方等について工夫が必要である。

原則3:各群団内の契約の中では種類、加入年齢、経過年数等を考慮して概略剰余への寄付に比例して分配されるべきであろう。
(説明)
利源分析、アセットシェア計算等によって剰余への寄与度を把握し、契約間の公平性を図る必要がある。

原則4:契約者配当に関する契約者の通常持っている期待は上述の原則と矛盾しない範囲内でこたえられるべきである。
(説明)
配当が経過年数ごとに上昇するといった例がこれにあたる。

原則5:実務的に得られるのは大まかな公平性である。
(説明)
経費の個々契約の配分、利配収入の配分、についてはその手段に関してある程度裁量の余地が認められている。

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