問題
(1)VaRとCTEについて簡潔に説明したうえで、それぞれの特徴を説明せよ。(平成25年度大問1(5))
(2)コヒーレントリスク尺度について説明せよ。(オリジナル)
(1)
【VaR】
○定義
$VaR(α)=inf \{ x\in \mathbb{R} : F(x)\geq 1-α\}$
VaRは、ある一定の確率の範囲内(信頼区間)でどの程度の損失が発生する可能性があるかを表す指標である。
○特徴
・VaRは直観的な把握が容易で扱いやすい。
・VaRは信頼区間外のリスクの規模を把握できないためテイルの長いリスクの把握に向かない。
・VaRは凸性を満たさないことから分散効果の把握に潜在的な弱点がある。
【CTE】
○定義
$CTE(α)=E\{ X|X\geq VaR(α)\}$
CTEは信頼区間を超える部分の期待損失である。
○特徴
・CTEはテイルの長いリスクの把握が可能である。
・CTEは凸性を満たすコヒーレントリスク尺度である。
・CTEは通時一貫性がないため、多期間のリスク尺度として使用する場合、問題点が生じる。
(2)コヒーレントリスク尺度とは、以下の4つを満たすリスク尺度のことである。
・平行移動不変性
任意の実数cに対して、$\rho (X+c)=\rho (X) + c$
・単調性
$P(X_{1}< X_{2})=1$
ならば、
$\rho (X_{1})< \rho (X_{2})$
・劣加法性
$\rho (X_{1}+X_{2})\le \rho (X_{1}) + \rho (X_{2})$
・正の同次性
$\rho (cX)\le c\rho (X)$