問題
生命保険会社における原価管理の目的と、商品別現価計算の概略及び留意点について、簡潔に説明せよ。
【原価管理の目的】
・商品別・部門別・顧客別等の収益性分析への反映
・価格政策への反映
・事務効率改善策への反映
【商品別原価計算の概略】
商品別原価計算とは費差損益対象経費を適切な費目に分類し、最終的には各商品に配賦するとともに、それらの経費を適切な単位(コスト分母)比例のコストとして把握すること。このコスト係数を算出することにより、商品別の将来収支シミュレーションが可能になる。
【留意点】
○対象費目
対象費目は、商品の販売・集金・維持保全に係るすべての経費である。
対象費用とするか否かで注意するのは以下の経費である。
・死差損益に係る費用(新契約加入時の診査経費、契約確認経費及び保険金給付金支払い請求時の契約確認経費)
・利差損益に係る費用(投資関係費用)
・狭義の事業費に属さない費用(契約関係税金、減価償却費及び退職給付引当金繰入額)
○費目区分
費目を適切に区分して経費を分解(分析)する必要がある。
以下の観点から費目を区分することに留意する。
・初年度費用と次年度以降費用
・固定費・準変動費・変動費
・払方別経費
・診査方法別経費・集金経路別経費、販売チャネル、営業職員資格別
○配賦基準
商品別費用を求める際の、配賦基準(保険金額、営業成績、新契約件数、保有件数、処理件数、給与、作業延べ時間、職員数、コンピュータ処理時間等)を定める必要がある。通常は消費主義(実態として何に比例して支出しているかに基づく)によるべきである。
○コスト分母
費用が何に比例して支出されているかに基づき、費目毎にコスト分母(保険金額、営業成績、新契約件数、保有件数、保険料、責任準備金等)を決定する。複数のコスト分母に比例させる場合もあり得る。